さて今日は前回の続き。
手ぬぐいの端縫製問題について考える 第二回です。
一応、話の流れがあるのでまだ1回目読んでないという方は先に読むこと推奨。
前回記事、TwitterにUPしたら僅かながら反応いただきました。
RT、いいねしてくれた皆さん、大好きです。
数字にするとこんな感じ↓
アラフォーてぬ男投稿:15♡
以前バズった手ぬぐい女子投稿:2万超え♡
さて前回は、手ぬぐい本来の姿は切りっぱなし、切りっぱなしな理由はナゼ?
ということを主に歴史的な背景から考察しました。
おさらい。ざっくり言うと、ポイントは3つです。
①手ぬぐいは日本古来の小幅生地をカットしたもの。
②乾きやすいから縫わない、と言うより縫う手間をかけなかっただけなのでは?糸や道具の問題もありそうだし
③昔は切りっぱなしであることにニーズ、必然性があったんじゃないか。
今回は、この③のポイントから現代における手ぬぐいの姿を縫製問題を通して考えていきたいなと思っています。
いきなり本題からそれますが、どうしても一つだけ言いたいことが。
①の小幅生地をカットしたものが手ぬぐい と言う部分についてです。これ大事です。
手ぬぐい、生地耳(長辺方向)は縫製されておりません。
生地耳こうなってます
元々30〜40cm幅ほどの生地ですので、そこからほつれることなく、何も手を加える必要がないのです。
この部分が縫製されていないことが、肌あたり良くストレスフリー。これは本来の手ぬぐいならではのディテールです。
100均でたまに、端だけでなく生地耳まで、四方全て縫われた手ぬぐいが存在します。
これは、広幅生地(だいたい100cm以上の生地幅)を全てカットして作られています。
理由の一つとして、広幅生地は小幅生地より圧倒的に安いから。
プリント費用も1枚あたり安くできるし、生地も広幅生地は大陸産の安いのがいくらでもあります。
100均で売ろうと思ったらコスト面からこうなっちゃうんでしょうね。
しかも顔料プリントなので吸水性もほぼなし。
私たちはこういった手ぬぐいのことを親愛を込めて、「100均テヌグイモドキ」と呼んでいます。
手芸用にはいいんですけどね。
さて本題に戻りましょう。
前回、私は最後の方で、「縫製問題、使う時の状況に合っていればどっちでもいいんじゃあ?」
と言いました。
この発言は要するに、「用途やニーズに応じていろんなディテールがあっていい」ということです。
江戸の時代には、下駄や草履の鼻緒が切れたときに手ぬぐいを裂いて鼻緒がわりにするというニーズがあったのでしょう。
「お、嬢ちゃん鼻緒切れちまったのか、よし待ってな。」
と言って懐から手ぬぐいを出して鼻緒にしてあげる姿が粋でモテたのかもしれません。
これは嬢ちゃん、って感じの足じゃない。
しかし時代は令和です。江戸ではありません。
世の中は多種多様なスタイル、趣味趣向で溢れています。
スポーツてぬぐいは、端を糸のみのロックミシンで縫製しています。
ロックミシンにしたのも、ほつれを防ぎつつできるだけ乾きやすくしたかったから。折り込むとそこが厚くなって乾きにくいですからね。
でも正直、スポーツてぬぐいをスタートした時は、本来の手ぬぐいの姿を知っている者としては、縫製を入れることに対して悩みました。
でも今は、縫製を入れて正解だったと思っています。
グレゴリーコラボ。
アウトドア・スポーツ用途で、端から糸がほつれてくるのはやっぱり使いにくいんじゃないかって思って、
さらに今まで手ぬぐいを使っていなかったシーン、マーケットに向けたから。
私も長く手ぬぐいを使っていて、アウトドアで使える、ほつれない手ぬぐいのニーズを感じていたのです。
結果、今は主にトレイルランニングやハイキングのスタイルの一部になっています。
皆さん、インスタでもすごくおしゃれに使ってくれてる。感謝。
スポーツ・アウトドアおしゃれ手ぬぐい というポジションを作れていると思ってます。
もちろん吸水速乾という機能面もギアとして備えてますので。
一方、同じアウトドアでも切りっぱなしの手ぬぐいのニーズ、必然性はどうでしょうか?
私は、こちらもあると考えてます。
スポーツてぬぐいは、トレランやハイキングといった、アウトドアでも比較的ファッション要素強いアクティビティにはまっています。
でも、例えばもっとガチの登山向けとかには切りっぱなしの方がいいかもな、ということも実はずっと思ってました。
登山スタイルによっては、ケガのリスクが高かったり道具の補修が必要なエマージェンシーなシーンが出てくる可能性が高まります。日帰りや1泊登山でしたらそこまででもないでしょうが、数日間に及ぶ縦走登山やロングトレイルなどはエマージェンシーな部分はしっかり考えないといけません。
縦でも横でも裂けます。ナイフなどで少し切れ目入れると裂きやすいです。切れ目入れれば、意外と耳からの方が裂きやすいです。
そんな時は、逆に裂きやすいというディテールが生きてくるんじゃないかって。裂くというニーズの存在可能性です。
そう、下駄の鼻緒代わり令和Ver.です。
山小屋の手ぬぐいは注染切りっぱなしであることが多いですが、単なるお土産ではなく必然性があるっていう考え方もできますね。
山以外でも、ほんと用途とニーズによると思います。
アウトドアやらないよーっていう手ぬぐい愛好家の方々も、育てる楽しみや肌触り、独特の風合いというところが好きで、好んで切りっぱなし手ぬぐい使う方多いです。
でも中には糸のほつれがどうしても気になるので、、と敢えて縫って使う方もいらっしゃいます。
なので、手ぬぐい一つとっても、使う人それぞれのスタイル、趣味趣向に合わせていろんな選択肢があるといいなって思ってます。
アウトドアでも日常使いでも、多様なニーズとスタイルのある現代、「手ぬぐいはこうあるべき」「そういうもの」と盲目的に言うより、
ちゃんと理由を伝えて、いろんなユーザーさんにいろんな選択肢を示してあげることが、企画、メーカー、業界側がすべきことなんじゃないか、
それが手ぬぐいという文化、アイテムを将来に繋げていけるんじゃないかなあと。
だから、「理解されないの助けて!」って発信した業界の中の子はいい問題提起だったしその後ちゃんと理由を解説してて偉いなって思った。
あれだけRTされてたら、否定的な意見にも晒されたんじゃないかなー。とちょっと心配にもなったし。
そう考えたら、100均テヌグイモドキもそれはそれでいいかなって気がしてきた。
手ぬぐいじゃなくて手芸用布だけどね!
みなさんどんどん手ぬぐい使ってください。
そしてどんどん広めていきましょう。
ここまで読んでくれたアナタに。