東京へは定期的に出張しているが、最近どうも最寄駅から商談先への道筋を確認していて、迷うことが増えたように感じていた。
原因は程なくしてわかった。自分の位置と進む方向をgoogle Mapに示される方向指示だけで判断していたのだ。
こういうやつ。
デジタルが当たり前の世の中で、さまざまなものがデジタルに置き換えられてどんどん便利になっていっている。
ウチのおチビなんて完全に感覚で私のiPhone やiPadをいじり、私よりはるかに扱えている。
恐るべしデジタルネイティブ世代。
登山でも地図アプリやGPSで自分の位置を容易に把握できるようになり、ルートも記録できて便利になったが、アプリだけに頼るのはやはりよろしくないと思う。
地図とコンパスからさまざまな情報を読み取り、自分の位置と行く先を定める。
いわゆる地図読みというものだが、これは山に入る者には必須の技術だと思うのだ。
迷わないという目的が大前提だが、何より地図が読めると楽しい。
等高線から尾根や谷を読み取り、地形の把握やルートのハードさのイメージもできるし、この道を進むと左手にあの山が見えるんじゃないか、右手にあの湖が見えるんじゃないかとイメージしながら、実際に進んで答え合わせをする。
常に自分を大きな縮尺から俯瞰して見れるので、道も覚えるし地理にも詳しくなる。
地図読みができると、間違いなく山の楽しみが豊かになる。
冒頭に戻り、東京で迷った理由。
以前は地図から目印になる建物などを把握し、自分のいる交差点の名前をチェックし、角にローソンがあってなど周囲の情報から自分の位置を把握し、あと3つ目の道を左に入ったら今回の商談先ね、という判断をしていた。
思えば、山での地図読みと全く同じことをしていたのだ。迷うことはほとんどなかった。
そりゃ、Google先生の方向指示だけで判断してたら迷うよねって。
ズレもあるし、スマホの角度でも表示変わるんだもん。
皆さんはそんなことはない? 私だけだったら、私はもうきっと生きた化石。
私の中で生きた化石と言えば、この子。
あ、じゃあ新柄は、きっと等高線や地図記号モチーフなのね!
と思われた方、少し待ってほしい。
国土地理院1/25000地図を眺めて時間を忘れてニヤニヤするような変態は、ここからさらに自然と対峙することは?というテーマをディグった。
地図読みはあくまで技術や知識の一つ。
自然と深く関わり、自然を味方につけることでより広がるアウトドアワールドを伝えたいと野生児は考えてしまった。
昔の人々は自然からさまざまな情報を読み取って、自分の位置や方向、リスクを判断していた。
例えば斜面に生えている木の根元が曲がっていたら、冬は雪の多い場所と判断できる。
風に耐えている証拠として木の根が広く張っている方が風下とか、木の枝がやたら一方向に伸びているなどで、風の吹く方向と照らし合わせてある程度東西南北も判断できる。
山では雲の位置が高ければ比較的天気は安定しているが、雲の位置が低くなると天気が悪くなる傾向があるし、雲の種類が増えると大気が不安定というサインで天気が崩れるかもという判断もできる。
積乱雲は危険な雲だが、輪郭がはっきりしている段階はまだ猶予があるが、輪郭がぼやけてくると嵐が近いという判断もできる。
こんな感じにぼやけ始めると嵐が近い。
つまるところ、自然が読めると自分の山行、アウトドア行の判断材料にすることができるのだ。
あ、じゃあ新作は木の形とか雲の形ね。
と思われた方、さらに待ってほしい。
大航海時代の船乗りたちは羅針盤と星座を航海の道標にしていたという。
そう、星座も季節や時間、方角を知る術の一つだ。
北極星は北を知るメジャーな手段なのはもちろん皆さんご存知だろう。
飲んで帰っている時に、「夏の夜なのにあれオリオン座が見えるよぉおかしいなぁ〜」
なんてことになったらそれは酔っているせいではなくもう明け方近いよということだ。夜通し飲み過ぎだ。
そんな時はもうきっとスマホの充電も切れているだろう。時計もスマホに頼り切りで持っていない。終電はとうに過ぎ、むしろ始発の方が近い。しかし飲み過ぎて現金もない。スイカのチャージもない。詰みだ。歩いて帰るしかないが、自分は今どこにいるのだろう?
東京砂漠ならぬ、東京海原だ。 よくわからない。
そんな時、例えば星座の知識があったらどうだろうか?
この現代でもし、星座を見て時間や方角を知ることができ、無事家に辿り着けたら、カッコ良すぎる。
そうだ、自然を知って、自然との向き合い方をより深めることでアウトドアライフひいては人生そのものをより豊かにしてほしい。
今週販売するのはこの2デザイン。
あれ?ただの星座柄の手ぬぐい?
いえいえ、光ルンです。
工場と取り組んで、開発できたてぬぐいへの蓄光プリント。
間違いなく業界初だ。
どうせやるならとことん、正確なものを発表しようと、
天体望遠鏡で有名なビクセンさんとも取り組み、プロの監修のお墨付きももらった。
この紋所が目に入らぬか。
一つはタイダイ染めをベースに、夏の天頂に見える夏の大三角形をモチーフにした。
やっぱメジャーどころが受け入れられるが、こちらに星座の線は描いていない。上級向けだ。
もう一つは、キャンプ場も多く点在し、UTMFなどのレースも開かれ、それ自身が登山者の憧れの対象でもある山岳アクティビティのメッカ、我らが富士山をバックにしたデザイン。
私は少々ひねくれているので、ふもとっぱらなどメジャーな場所からよりも、より深い自然遊びのできる富士五湖周辺から南に富士山を見た位置にした。季節は夏だ。
星座を知るだけでも、いろんなところに知識が広がり、自然に対する向き合い方も変わる。
キャンプや夜営スタイルで夜に拡げるもよし、ナイトハイク、ナイトランで広げてみるもよし、
ひとりULキャンプのお供にするもよし。
ヘッドライトでしばらく照らせば、すぐに光ってくれる。
夜の山中で、はたまた夜の大都会で、もしあなたが道に迷い漂流船のようになってしまったら、
落ち着いてザックまたはポケットからこの星座手ぬぐいを出してほしい。
ヘッドライトで照らして、もしくは自動販売機の光で照らして、光をチャージ。
そして夜空へ向けて広げてみよう。
きっと、あなたの行く先を示してくれる光となるはずだ。
行く先はわからなくても、きっとあなたの心は少しだけ明るくなるはずだ。
そう、今回の星空手ぬぐいは、このデジタル化進む現代に一石を投じるデザインなのだ。
一つだけ難点あり、発光時間はちょっと短い。 生地へのプリントは、紙や他の工業製品のようにいかないのが難点でもあり、面白さでもあるのだが、そこだけご理解いただきたい。
量産上がりスケジュールの関係で、今週はこの星座蓄光発売だが、来週も新たに2デザイン発売となる。
もし告知せず後出ししてしまうと、ファンの皆さんとしては、一気に出してよ!というところだと思うので、先に来週発売の2柄も発表しておく。
ハーフトーンカモ
ブナ&ミズナラ
やだ星座すごい星座だけでもすぐ!という方はぜひ今週、
来週のもいいじゃん!という方は来週ぜひまとめて。
来週発売の2デザインのストーリーも、また来週触れたい。
以上モリノでした。
ここまで読んでくれたあなたに。