今回のトピックは2回に分けての投稿です。
書いてたら長くなっちゃった。
少し前に、(和雑貨としての)手ぬぐい界隈で話題になったことがありました。
アマゾンの評価で、「端が切られたままだったので星一つです」
的な評価がつけられて、「そういうものなのに理解してもらえない助けて!」
的な手ぬぐい業界の中の人のTwitterへの投稿がえらく反響あってネットニュースでも取り上げられたんですよね。
切りっぱなしの手ぬぐい。(ちょい糸抜き済み)
私はこの時、リアルタイムで全然みてなくて後で気づいて、ほじくりかえしてみたら、
「おぉ〜 バズってるなぁ〜」って感じでした。
まあ私も長く手ぬぐいには関わってきて、いわゆる手ぬぐいのデザインもやってた時期ありまして、
その時に全く同じ評価をつけられたことあって、同じくTwitterで発信したことあるんですよね。
ただし私の場合は全くバズらず、TLに埋もれていきました。
当時まだ20代だったと思いますが、まあ私みたいな男が言うのと、女の子が「わかってくれないの助けて!」
って言うのとでは世間様の反応はまるで違うと言うことなんでしょうかね。たぶん。(僻み)
手ぬぐい女子「助けて!」←かわいそう助けてあげよう。RT
てぬ男「助けて!」←知らねーよ自分でなんとかしろ企業努力だろが。スルー
とまあ冗談と僻みは置いといて、
この手ぬぐい縫製問題について、今更ですがスポーツてぬぐいのポジションと絡めて私の見解を述べましょう。
まず昔ながらの手ぬぐいが縫製されていないことについて。
これについては、私も、
本来の手ぬぐいは切りっぱなしであるもの。というスタンスで同意です。
理由としてよく言われるのが、
「あえて端を縫わないことで水抜けがよくて乾きやすくしてある。先人の知恵なんです。」
というもの。
また、「いざという時に裂けるので、下駄の鼻緒が切れた時なんかに代わりにできる。」
ということも言われたりします。
そして最初のうちは糸がほつれてくるけど、使っているうちにフリンジ状になって落ち着く。手入れして育てる楽しみ。
ということも言われますね。
フリンジ、こんな感じになります。
私は手ぬぐいに長く関わってきて、実は「あえて縫わずに乾きやすくしているのは先人の知恵」の部分については違う見解を持っています。
それはおそらく結果論だったんじゃないかと。
手ぬぐいって、歴史の古いアイテムです。
古墳時代の古墳から出土したこともあるとか、戦国時代には兜の下に巻いてたとか、そんなレベルの時代から記録があるみたい。
そして江戸時代に庶民にも広まって一般的になったとか。
で、手ぬぐいって、小幅の反物を切って手ぬぐいになるんですよね。
小幅生地。元々から生地幅30~40㎝ほどの生地です。
何が言いたいかっていうと、昔は単純に縫う余裕がなかったんじゃないかなと。
浴衣だって使い古したら解いて反物に戻して、それを切って手ぬぐいにしてたとか。
昔の人は、手ぬぐいって切れているのが当たり前で、乾きやすいからあえて縫わないって意図はなかったんじゃないかって思ってます。
たぶん、それこそ下駄の鼻緒変わりにするみたいな、いざという時に裂けるから。というエマージェンシー用途からの理由の方が説得力あると思ってます。
いざという時に裂いて使えるから、切りっぱなし。その方が時代的に理にかなってそう。
確かに乾きやすいんだけど、これはもしかしたら割と近年に手ぬぐい業界が分かりやすい理由として使った文句じゃないかなーってのが個人的な考え。
だって、江戸の頃にがっつり四方を縫製したようなハンカチや、パイル地のタオルってあった?
ないよね。その頃の人は手ぬぐいと比較する対象がないんじゃない?って。
昔の人的には、
「わざわざ縫う余裕ねえし切りっぱなしでいいだろ」
「裂けやすいしいざという時にヒモにして使えるしな」
「糸ほつれるけどしょーがねぇよな。まあしばらくしたらほつれ止まるし」
こんな感じだったんじゃないかな。
で、近世になって広幅生地で四方縫製したものや、パイル地のタオルが出てきて、手ぬぐい業界がそこと差別化するために、「あえて端を切りっぱなしにしていることで乾きやすい」
って言い出したんじゃないかな。さらに先人の知恵っていうと聞こえがいい。
正直、事実を確かめる術はないので、私の考察の域を出ません。
でもま、最初に戻るけど、結論は「本来の手ぬぐいは切りっぱなし」
でいいと思ってます。
歴史的、文化的背景からそう思っているのが一番の理由でして、まずは正しい情報と価値観を伝えないとという理由。
まあ、乾きやすいのも事実です。
でもまあ正直言うと、この縫製問題、使う時の状況に合ってればどっちでもいいんじゃあ?
って今は思ってたりします。
今の時代、下駄の鼻緒切れたら手ぬぐい裂いて代わりにしないよねー。
そもそもこの令和の時代に下駄の鼻緒切れる?
スポてぬは糸のみのロックミシン。
っていうようなことも交えて、次回はスポーツてぬぐいのポジショニングと山で使う手ぬぐいについてのお話をしましょう。
ではまた!
ここまで読んでくれたあなたに